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つながろうねっト

つながろう!世界の日本語教師

スピンオフ企画(2014年実践研究フォーラム「みんなの実践広場」での出展)

2014年8月2日に、2014年実践研究フォーラム「みんなの実践広場」に出展しました。

 

『なぜプロジェクト活動をやるのかー自身のプロジェクト活動を振り返り、目的と意義について考えよう!』

 

出展で使用したポスター 

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当日のまとめ
1.プロジェクト活動をやっていますか。
 
   はい 16人
   いいえ 3人
 
出展では、まず「プロジェクト活動をやっていますか」というyes/noの質問から疑問を投げかけましたが、まず「プロジェクトって何ですか」という逆質問を受けることが多くありました。プロジェクト活動のイメージは人それぞれで、はっきりとした定義を持ってプロジェクト活動を行っているわけではないことが窺えます。さらに、「これがプロジェクト活動だ」と明確に述べられる人は決しておらず、1の質問に答えるのに時間がかかったり、答えられずに考えこんだりしている人も多いようでした。出展者が迷っている理由を尋ねると、プロジェクト活動に対するイメージ(e.g. 大がかり、外とつながる、時間をかける)が答えとして返ってきました。
 
そして、「プロジェクトをやっているかやっていないか、どちらか選んでください、と言われたらどちらを選びますか?直感で選んでください」「『プロジェクト』というと、どんなイメージがありますか?」「具体的にどんな活動だと思いますか」と問いかけました。
 
その後、「プロジェクト活動をやっている」という人には赤シール、「プロジェクト活動をやっていない」という人には青シールをポスターに貼ってもらいました。プロジェクトをやっていないという人は、私達が例として提示した学校紹介のビデオのようなコースの一部で何かを作るといったものを「プロジェクト」とするのであれば、していないと話した人がいました。プロジェクトとは、先に目的・理念ありきであり、コースの足りない部分を補完するようなものではないと考えているためだ、ということでした。またそれはその人が所属する教育機関ではコース全体をプロジェクト型として活動できるからかもしれない、と言っていました。
 
 
 
2.どんなプロジェクト活動をしていますか。
 
どんなプロジェクト活動をしているのか尋ねたところ、以下の様なものが出てきました。
  • アンケート調査
    • 教室の外に行き、大学内外のコミュニティの人々に「日本文化」や「学生たちの興味」について尋ねるなど
  • インタビュー調査
    • アンケート調査と同じような方法だが、こちらはインタビューを用いる 
  • スキット・ドラマを作る 
    • 学習した語彙や表現を使ってクラス内向けにドラマを作って共有する 
  • テレビ局や工場を見学し、リポートを作成する
  • 壁新聞
  • ガイドブックの作成
  • 意見文作文や美術館レビューの作成
  • 「防災を学ぼう!」(地域の防災地図を作成する)
  • 悩み相談
  • 学校紹介ビデオ
  • 地域/行政との連携
    • 日本語学校が地元のコミュニティに、学校/学生についての理解を深めてもらうために、行政と協力し、町の美化活動を行っている(サービスラーニング)。
  • ケースを書いて共有
    • 自分が問題だと思っていることを解決するためにはどうしたらいいのか問題提起を行うため、スキットのようなものを書き、それをクラスで共有し、話し合っていく
 
 
3.プロジェクトをやる目的って何ですか。
 
プロジェクトを行う理由として、大きく分けて以下の2つがあるようでした。
  1. 通常の授業の補完・補填のために、こうしたことを行うという理由付けがある
  2. 目標・目的が先にあり、それを達成するために行う
  3. そして、1のパターンでは、通常のプログラムのなかでいかにプロジェクトのための時間を創りだすかという苦労があるようでした。
また、プロジェクトを行う目的・目標としては
  • 学生を教室の外に出す
  • 日本語を実際に使う環境を作り出す
  • 誰かとつながる
という声が多くありました。
 
教室の外で日本語が使われている第二言語環境下(日本で日本語を教える)の先生方が多く集まっていたので、教室外での日本語使用が主な目的になっていたのではないかと考えられます。しかし、教室の外では日本語が使われていない外国語環境下(海外で日本語を教える)の先生方がどのように考えているのか、少し気になるところでもありました。
 
他の目的としては、
  • 達成感
  • モチベーション
  • 関係性を動かす
というような学習者の環境や心理的なものに関わるものや
  • 学習者のリソースを広げる
  • プロセスを通した学び
  • 通常の授業に補填する/補う
など授業ではなかなかできないようなことがプロジェクト活動では行うことができるという声もありました。
 
また、少数でしたが、
  • 思い出づくり
    • 成果物を残すことで、学習者が(教師も)日本語授業についてまた思い出すことができる 
  • 物事の他の部分が見られる
    • レベル差があるクラスでいつも助けられているような学生が自分にもできることがある(他のクラスメートを助けることがある)ということに気づくことができる(学習者側の気付き)
    • テストでは悪い点数をとるが、プロジェクト活動ではがんばる(教師側の気付き)
  • 学習者の周囲の人々が考えている(決めている)”日本語“をずらすため
    • 例えば、理系の学生は専門分野の論文を日本語で読むニーズがあるという思い込みが学習者の周囲の「日本語話者」にあるのであれば、プロジェクト活動を通して、周囲に働きかけていくなど
というものもありました。
 
 
 
 
3.プロジェクト活動でどんな「モヤモヤ」がありますか。
 
まず、1の「プロジェクト活動をやっていますか」でも述べましたが、プロジェクト活動とは一体なんなのかというもので悶々としているようでした。例えば、プロジェクト活動の規模(クラス単位・学校単位・社会単位など)による考え方の違いがあり、自分のやっているものはプロジェクト活動なのかという疑問を抱えていました。
 
そして、大きなプロジェクト活動を行うには、
  • 人的リソースの不足
    • 単に人手が足りないということもあるようですが、リーダーシップを取る人が現在プロジェクトを引っ張っており、その人がいなくなった後どうするかという問題もあるようでした。
  • 予算の不足
  • 社会とつながるための「根回し」を行うための時間的余裕
というようにプロジェクト活動を行うための人的・予算的・時間的な問題があるようでした。そのため、「プロジェクトの継続性」も問題点として上がってきていました。
 
また、評価に関しても、多くの教師はプロジェクト活動ではプロセスを重視しようと努力していますが、所属機関が求めてくる評価としてはプロダクト(学生の成果物)を見なければなってしまわくなり、悶々するという声も多くありました。所属機関によっては相対評価でプロジェクト活動を評価しなければならず、そこでの悩みも多くあるようです。また、学習者側に事前の説明を十分に行っていない/行えないことから、学習者が何を評価されているのか、もしくは、プロセスを見ると言っているのにプロダクトが評価されてしまっていると不満の声が上がってしまうという声も聞かれました。
 
さらに、「語学を教えているのになんでプロジェクトをやるのか?言語以外のところを言語教師がやる必要があるのか?」ということを同僚や上司から言われ、「やらせてもらえない」という現状や学習者の中にはプロジェクト活動よりも「言語学習」に興味を持つものもいるようで、「プロジェクト活動」をやりにくいという現状もあるようです。
 
そして、興味深いものとして、教師はクラスにいる学生一人を「点」として考えがちで、自分のプロジェクトの中の視点からしか見ていないのではないという意見がありました。学生は日本語以外にも様々なクラスをとっておりプロジェクトもしている可能性もあるため、学生が他の学びも含め総合的に学びを「線」で考えることができるようサポートが必要なのではないかというようなお話でした。同様に、「コーディネーターから言われてよくわからないままプロジェクト活動を初めてやったけれども、楽しかったから継続している」という意見もありました。このことはコーディネーター側はプロジェクトの学びを「線」で考えることができるが、週に1回程度しかコースに関わらない教師の場合は、その日1日だけの「点」でしかプロジェクトをとらえられないということ関係するのではないかと考えられます。